みやしろ町から

大学生が「日本のこれから」を考えるブログ

ベーシックインカムで人は幸せになれるのか

ベーシックインカム(BI)は今後実現する可能性があるのだろうか。

今回は、山本亮ベーシック・インカム入門』(光文社、2009)を読んで、考えたことを書いていく。

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無条件給付の基本所得は多くの問題を解決する

ベーシックインカム(BI)の特徴について、「ベーシック・インカム白書」(アイラアンド政府、2002年)が挙げているものは以下の通りである。(※以下の引用は一部を省略している。)

  1. 現物ではなく金銭で給付される。
  2. 定期的な支払いの形をとる。
  3. 国家または他の政治的共同体(地方自治体など)によって支払われる。
  4. 世帯や世帯主にではなく、個々人に支払われる。
  5. 資力調査なしに支払われる。
  6. 稼働能力調査なしに支払われる。(p22〜23)

また、ベーシックインカム(BI)によって多くの問題を解決することができると経済学者たちは予想している。そしてそれと対比される制度が、現行の社会保障制度なのである。

 

導入までは大きな制度改革が必要であろう。私は、国民の同意を得るためには、次の2点の問題について納得することができなければならないと考えている。

  1. 人は働かなくなるのか?という問題。新しい労働の価値観を社会が受け入れることができるか。
  2. 予算をどう確保するのかという問題。増税を受け入れることができるか。

 

労働の価値観が変わる

ベーシックインカム導入により、人が働くなるかは大きな課題のひとつだろう。ただ、これは給付額より変わると思われる。それよりも、その給付額をいくらにするのかが難しい。現在の生活保護の水準では低い。地域によって物価が異なるし、先の老後2000万円問題を見る限り、その額を決定することは容易ではないだろう。

 

働かなくても働いている

そもそもこの議論は、1970年代のアメリカやイタリア、イギリスなどで「家事労働に賃金を!」というスローガンから始まっている。「働く=家の外での労働」がそもそも間違っているかもしれない。そして今後は、働く人=偉いのような、古い価値観を変えていかねばならないだろう。

 

大幅な増税によって賄うことになる

増税を私たちがどこまで許容できるか(特に高所得者が)が重要だろうか。所得税で補うのか、消費税で補うのか様々な議論があるが、増税ベーシックインカムは少なくともセットである。増税議論だけが、先行しないように注意しなけらばならない。

 

現行制度の激変に対応できるのか

マイナンバー制度は、個々人に対し支給するBIの制度に活用されることになるだろう。税制、保険制度など、大きく変更しなければならない制度は多いが、ベーシックインカム導入の基礎は少しずつ出来上がりつつあるように思う。

導入にはまだ時間がかかりそうだ。

 

ベーシック・インカム入門 (光文社新書)

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