みやしろ町から

大学生が「日本のこれから」を考えるブログ

金の沢と金箔の町「金沢」へ(完)

金沢でのゼミ合宿の記録。最終回は、金沢の名前にも入っている「金」に注目する。金沢は金箔の町とも言われるほどで、全国の金箔生産量のほぼ100%が金沢産だ。(※掲載写真はいずれも私が撮影したものである。)

 

金箔の町「金沢」の歴史

加賀藩では、これまで多くの洗練された工芸品を作り続けてきた。有名なものだけでも、加賀友禅九谷焼・加賀漆器・加賀繍(かがぬい)などがある。今回、私が「金箔貼り体験かなざわカタニ」さんで体験させて頂いたのが、有名な伝統工芸のひとつである、金沢箔だ。

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※写真はカタニさんでの金箔貼り体験でつくった作品。約1時間ででき、そのまま作品は持ち帰ることができる。体験料も千数百円程度とリーズナブルなのが良かった。〈https://www.k-katani.com〉←「かなざわカタニ」さんのHPはこちらから

 

金箔の産地として、金沢が発展してきた理由のひとつには、箔の製造に適した湿度と温度、水質に恵まれた「北陸の気候風土」と、この地で育まれてきた忍耐強い「職人気質と技術」という2つの要因が挙げられています。〔参考2より引用〕

箔打の技術は、「箔打ち禁止令」が慣行されていた江戸時代の加賀藩においても密かに守られてきた。また明治維新期の江戸幕府の崩壊によって、箔座が廃止され金箔産業の統制化がなくなり、江戸箔が途絶えたことは、金沢における金箔の生産・販売の自由化を意味した。これまで江戸と京都でしか公式に認められなかった金箔の生産は金沢箔がその優位性を獲得することで、伝統工芸としての地位を確立していった。

箔打ち紙の仕込みに、金沢の軟質の水質が適していたと言われています。また、金沢は湿気が多く、紙の湿り具合の調節が要となる紙仕込みの作業に適しています。〔参考3より引用〕

金沢は、その昔、金の鉱脈から砂金を含む土砂が流れてきた土地でした。それが「金の沢」「金沢」になったといわれています。かつてはゴールドラッシュが起こったことも。〔参考1 p81〕

金沢の名称の由来は諸説あるものの、金箔工芸=金沢を確立させたのは、その技術を受け継いできた人々の努力だけでなく、その土地の地理的条件が偶然にも良かったことが大きい。

 

金沢はその地理的位置より京から少し距離があるが、だからこそ優れた文化人を輩出し、伝統工芸の技術を守り続けることができた。そして現在では幸運なことに、東京から片道2時間30分で金沢へたどり着くことができる。金沢市内はバスも走っているが、その多くは徒歩で回ることができ、大小様々な規模の博物館や美術館が至る所に点在している。2泊3日のゼミ合宿であったが、まだまだ見たい場所が沢山あった。機会をつくってまた訪れてみたい。

 

おまけ

ひがし茶屋街

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街並みとしては、ひがし茶屋街が一番当時の面影を残している。道幅の狭い所もあり、まさに当時の雰囲気そのままであろう。観光客も他の場所より多かった印象だった。

 

いくら丼

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加賀能登海鮮丼屋「一番星」さんにて、いくら丼(2800円)を頂いた。店内には沢山の色紙が貼ってあったが、店長はとても特徴的な方であった。いくらをこんなに贅沢に食べたのは、初めての経験かも。〈https://1ban-bosi.com〉←一番星さんのHPはこちら

 

夕方の兼六園

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夕方に再び訪れたのは、2日目に行った時間帯が朝だったので、日の傾きが変わった夕方の兼六園も見てみたいと思ったからだ。上の写真は、左が朝9時ごろ、右が夕方16時過ぎころに、ほぼ同じ構図で徽軫灯籠の写真を撮ったものを並べている。太陽の向きが変わると雰囲気が全く変わることがわかる。また季節が変わると、光景は劇的に変化するのだろう。

 

 

 

過去の記事はこちらから↓

tymyh1123.hatenablog.com

 

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【参考】

  1. NHKブラタモリ」制作班『ブラタモリ1 長崎 金沢 鎌倉』(角川書店、2016年)
  2. 金箔の歴史(箔一HP)〈https://www.hakuichi.co.jp/kanazawahaku/history.html#history-4
  3. 金沢箔の歴史(箔座HP)〈https://www.hakuza.co.jp/haku/historys.html
ブラタモリ (1) 長崎 金沢 鎌倉

ブラタモリ (1) 長崎 金沢 鎌倉