みやしろ町から

大学生が「日本のこれから」を考えるブログ

「教育業界」のこれから

今回は、これから大きく変化する「教育業界」について、重要となるキーワードを3つ紹介する。日本の教育業界のこれからを考えていきたい。(※本記事は2019年8月11日の記事を再編したもです。)

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※上写真は、読売新聞「新指導要領案 高校 近現代史必修に 新科目 選挙教育で「公共」」2015年8月6日付朝刊一面より引用

 

少子化時代に求められること

教育業界が、今変わらなければならない理由は何か。その課題の根本には、少子高齢化の問題がある。少子化社会の問題を解決するために教育業界ができることは、一人あたりの生産性を向上させることだ。分かりやすく言えば、これまで10人で10生産してきたことを、8人で10生産しなければならない。そのためには、現在の教育制度では不十分な点が多い。そのために、以下に挙げるような3つの教育改革がなされていくだろう。

 

①2020年の教育改革

2020年に教育界は大きな転換点を迎える。加速度的に変化するこれからの社会において、活躍できる人材を育成するために、学習指導要領が改正される。小学校では英語やプログラミングの授業が必修化され、高校では「公共」や「歴史総合」の授業が新たに新設される。加えて、大学入試では英語の資格・検定試験が活用されることになり、2021年には「大学入学共通テスト」が既存のセンター試験にかわって始められる。

 

②公教育と民間教育の連携強化

10年前まではあまり連携がなかった公教育と民間教育だが、教育格差の是正を目指す動きの中で重要視されるようになってきた。校舎という設備を持っている(税金で作られる)という強みを持つ公教育に対し、教えることについて能力の高い教師を集められる民間教育の強みを融合させるのである。学校の教室が使われない時間に塾の教師を派遣して、格安か無料で教育を受けることのできるような仕組みがつくられてきている。経済的な問題を抱えている家庭に生まれても、十分な教育を受けることができる環境を整備していくことが目的なのだ。

 

③ICT教育(EdTech)

EdTech=Education(教育)+Technology (科学技術)である。つまり、テクノロジーを用いて教育にイノベーションを起こす動きが活発化している。2020年から学校教育で導入される「プログラミング教育」をはじめ、AIを活用し、学習者一人ひとりの進行度や理解度に応じて学習を提供する「アダプティブラーニング」などが注目されている。また、「STEM教育」[Science(科学)Technology(技術)Engineering(工学)Mathematics(数学)]も理数系の分野が注目をしている。これらの教育が目指す目的は、子供たちに効率的に多くのことを学んでもらうことである。とりわけ「STEM教育」では、創造性を養い問題解決能力に長けた人材を育成していこうとしている。

 

「教育業界」のこれから

教育業界は横ばいの状態が続いている。つまり、少子化の状況から考えると一人あたりにかける教育費が増えているということになる。今後について、公教育においては民間教育と連携をしていかなければならないだろうし、民間教育の業界はますます競争が激しくなるだろう。一人あたりの教育費は増えても、子供の数は減るので生徒の取り合いが起こるからである。

ただ重要な点は、今回挙げた3つ改革は、いずれも少子化という状況の中で、一人あたりの生産性を向上させ、日本の将来を支える人材をつくっていくという大きな理念のもとに進められていることを忘れてはならないことである。数年先、数十年先という短いスパンではなく、長期的な視点に立ってこれからも日本が世界の中で大きな役割を担える存在であり続けるために、教育業界は変わり続けなればならないのである。