みやしろ町から

大学生が「日本のこれから」を考えるブログ

歴史

駒澤大学博物館企画展『相撲遊覧』の紹介

現在、駒澤大学禅文化歴史博物館では、学芸員を目指す学生による企画展示が開催されている。今回はそんな博物館学講座企画展『相撲遊覧』について、紹介していきたいと思う。 博物館学講座企画展とは 企画展『相撲遊覧』の見所 博物館学講座企画展とは 第13…

大村益次郎はなぜ徴兵制を構想したのか

「徴兵」という制度は現在でも様々な国が採用している。「徴兵」がある国で日本から1番近い国は韓国であり、韓国人の男性は基本的に19歳から29歳の間に約2年間兵役につく義務がある。 ところで多くの日本人は「徴兵」の考え方に強い抵抗を感じているが、過去…

ホロコーストはなぜ起きたのか【ナチ・ドイツの歴史】

19世紀後半の社会は、急激な産業化・人口の増加により、既存の社会構造と伝統的な価値体系が崩れ、人々の間で不安が広がっていた。そのような状況の中で、極端なレイシズム(人種主義)や人種衛生学が根を下ろしていく。これらの思想はマイノリティが迫害さ…

ヒトラーはなぜ独裁者となったのか【ナチ・ドイツの歴史】

近代史の中でも、アドルフ・ヒトラーほど有名な人物はいない。彼が中心となって行われたとされるドイツ帝国の再建や第二次世界大戦、そしてユダヤ人の迫害・大虐殺には、国を問わず多くの人々がその歴史に興味を惹きつけられる。それは、人権と民主主義とい…

なぜ明治維新史を修正せねばならないのか【日清関係篇 下】

↓前回の記事をまだ読んでない方はこちらから。今回は後編となります。 tymyh1123.hatenablog.com 琉球漂流民殺害事件の発生 台湾出兵における解釈の齟齬 琉球処分の余波 琉球漂流民殺害事件の発生 1872年8月、鹿児島県は琉球民が台湾島東部の蕃地に漂着した…

なぜ明治維新史を修正せねばならないのか【日清関係篇 上】

これから、明治初年における日清関係の展開について、条約調印・批准、琉球・台湾問題に言及しながら概述していく。実は教科書の記述を見ると、日清修好条規は日本と清国の間に結ばれた初めての対等条約となっている。 新政府は,1871(明治4)年,朝鮮が朝…

私が史学科に興味のある高校生へ絶対に勧めたい一冊の本

私は現在、歴史学科に所属する大学4年生です。今回は、私がこの4年間で読んできた3桁の数の本の中から、史学科・歴史学科に興味のある高校生に是非読んでほしい本を紹介します‼︎熱が入ってしまったので、かなり長文になってしまいましたが、最後まで読んで頂…

ジブリ作品を社会科教材に【もののけ姫】

ジブリ作品を社会科教材に活用する試みとして、前回は映画『耳をすませば』を取り上げた。そして第2弾として今回教材化してみたいのが、映画『もののけ姫』である。 もののけ姫の舞台設定 作品に反映された歴史学の成果 もののけ姫で日本中世史を再考する な…

なぜ明治維新史を修正せねばならないのか【薩摩篇】

前回は下関戦争を例に、長州藩における行き過ぎた地域顕彰と、その歴史認識の問題点を考察していった。今回は幕末史のもう一つの有名な舞台である薩摩藩の歴史を考えていく。 生麦事件の歴史認識 薩英戦争の歴史認識 生麦事件の歴史認識 生麦事件は1862年9月…

なぜ明治維新史を修正せねばならないのか【長州篇】

平成30年(2018年)は、明治元年(1868年)から満150年の年であった。まずは少し遡って、安倍晋三首相による平成30年1月1日の年頭所感から以下の言説を引用してみたい。 150年前、明治日本の新たな国創りは、植民地支配の波がアジアに押し寄せる、その大きな…

消えゆく日本のシャーマン

日本のシャーマニズムについて述べていく。今回取り上げるイタコのようないわゆる民間巫者とよばれる人たちは、普通の宗教者が持つモノ、つまりは宗教の三大要素とされる教義・教団・戒律を持ち合わせていないところに大きな特徴がある。 しかし、民間巫者が…

日露友好は本当に可能なのか

日本近現代史において、現在に至るまでの日露関係史は、日露戦争や冷戦,北方領土問題に見られるように、対立関係にあった時間が長い。とはいえ、日露友好を模索しなければならないという実情のなかで、これまで日本の歴史研究者はその理想像を、第一次日露…

金の沢と金箔の町「金沢」へ(完)

金沢でのゼミ合宿の記録。最終回は、金沢の名前にも入っている「金」に注目する。金沢は金箔の町とも言われるほどで、全国の金箔生産量のほぼ100%が金沢産だ。(※掲載写真はいずれも私が撮影したものである。) 金箔の町「金沢」の歴史 おまけ ひがし茶屋街 …

文学と芸術の街「金沢」へ(三)

金沢でのゼミ合宿の記録。今回は、金沢が文学と芸術の街となった原点を探る。北陸地方を中心とする日本海側の地域は、かつて「裏日本」と呼ばれ、マイナスなイメージが持たれていた。ただもう少し過去に溯れば、江戸時代には北前船の寄港地として栄え、新潟…

加賀百万石の城下町「金沢」へ(二)

金沢でのゼミ合宿の記録。今回は、2日目に訪れた場所を紹介する。金沢で最も有名な観光地である兼六園と金沢城は、そのつくられた場所に注目すると面白い。兼六園下交差点から、紺屋坂をただ登るだけではなくて、ぜひ地形のダイナミズムを感じてみたい。今回…

天下の書府の城下町「金沢」へ(一)

9月11日(水)〜9月13日(金)に大学のゼミ合宿で金沢を訪れた。日本近現代史のゼミに所属する私にとって、金沢は加賀百万石の城下町というよりは、文学の街というイメージが強い。 ブログの大テーマからは若干それてしまうが、自身の学びの記録として、金沢…

平和教育で教えるべき事は戦争の悲惨さだけなのか

平和教育は今後どうあるべきなのか。 今回は、吉田裕『日本軍兵士-アジア太平洋戦争の真実』(中央公論新社、2017)を読んで考えたことを書いていく。 戦闘死は少数。悲惨な死は原爆だけではない 閉ざされた組織の中は、私制裁・排除が起こる 吉本も学校も…